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本年も残すところ1か月となりました。11月初旬までは、各地で真夏日となる所もありましたが、さすがに師走になると、寒さが厳しくなってまいりました。
さて、年末年始に向けて皆様も、慌ただしくされているかと、ご察しします。この時期には、お歳暮の準備、歳の市、クリスマス、一年の煤を払う大掃除をはじめ新年をお迎えする準備、仕事納め、故郷への帰省、大晦日・お正月初詣・成人式その他多くの催事・イベントがあります。
実はその中には、一般の方にはあまり認知されていないように思われますが、12月8日には、仏教徒にとっても、とても大切な行事があるのをご存知でしょうか。

「成道会(じょうどうえ)」

12月8日は、お釈迦様がお悟りを開かれた(成道された)日です。各地の寺院では「成道会」という法要が営まれます。4月8日には、お釈迦様のご生誕を祝い誕生仏に甘茶をかける「花まつり」、2月15日はお釈迦様が涅槃に赴かれた日である「涅槃会」と、お釈迦様に関係する法要があります。わかりやすく例えますと、花まつりがお釈迦様のお誕生日、涅槃会が御命日、そして12月8日の成道会は「仏教の出発点」をお祝いする日ともいえるのではないでしょうか。
お釈迦様は、法(真理・実相)をお悟りになり、顕かにされました。それを私達衆生に、分かりやすく譬えを交えながらお説きになり、八十年の生涯を終えられるまで、布教の旅を休むことなくお続けになりました。
お釈迦様の布教の旅での逸話の中にこういうお話があります。

お釈迦様がお弟子達と共に、托鉢(乞食)をしていた時の事です。
そこでは、多くの農民達が額に汗しながら田畑を耕して、日々の糧、将来の豊かさを得る為に働いていました。托鉢をしていたら、その多くの農民達が仕事に一段落をつけて、食事を広げはじめました。
そこへ、お釈迦様は乞食を入れる為の器を持って黙然と立たれました。それに気づいた、農民達の頭(当時の祭祀階級 バラモン)と思われる男が、お釈迦様をからかうような態度で言いました。 「あなたたちは、よくこの辺りに来なさるね。どうです、あなたは働き盛りの大勢の男たちを連れ、ぶらぶらとしながら食べ物を恵んでもらい、よくわからないお説教をしているようだ。私らは、あなた達がしている難しい話しはわからないが、あなたもそんなことしていないで、自分で田畑を耕して、食べ物を得たらどうですか。私らは、自分で田畑を耕し、米や野菜を収穫している。ものを作るのが働くという事ではないかね?」
そのバラモンの言うことを静かに聞いておられたお釈迦様は、従容として、こうお答えになりました。
「私もまた、田畑を耕し、種をまき、育て、実りを刈り取っています。あなた達と同じです。」
男の挑発するような言葉に対して、お釈迦様が反論するかと予想していた男は、その意外なお答えに反問しました。
「あなた方が、今まで労働をしているのをみたことはない。そう言うのなら、あなたはどこに田畑を持ち、牛を飼い耕し、どの土地に種をまいてるというのか?」

お釈迦様は、泰然自若としてお答えになりました。
「私は忍辱(にんにく)という牛で、精進という鋤をもって、全ての人々の心の田畑を耕し、真実の幸福になる種をまいている」

お釈迦様は、「我は心田を耕す労働者なり」の大いなる覚悟を持って、その身命を捧げられたのです。

反省の鋤で耕し、感謝の種を撒く

私達の心を耕す方法一つに、「反省(自分を省みる)」と「感謝(お蔭様という気持ち)」があります。
人は自分を省みることがないと、傲慢になり、家族・学校・職場などをはじめとした回りへの感謝が薄れます。また、感謝の気持ちが深くなればなるほど、自分を深く省みる事ができます。
それがやがて「柔軟心」「素直」という徳性へ育っていくのではないでしょうか。
心(田畑)が固いと、種が蒔かれても根をはる事ができずに芽は出ません。柔らかく肥えた土地には、多くの実りがあります。

最後に、成道後にお釈迦様が鹿野苑(サルナート)で、最初のご説法(初転法輪)をされた時に、お弟子達に伝えられた言葉をご紹介します。
「人々の真の幸福のために歩みを進めよう。教えを説け。行いを示せよ。我もまた、教えを説くために旅立つであろう」

新しい年も、常に自心を耕し続けていきたいものです。

合掌

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